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「20代は信頼づくりに注力すべし。会社員1年生がやるべきこと」 -ガイアックスの最年少事業部長が目指す未来の組織とは(3/3)-

ソーシャルメディアとシェアリングエコノミー業界で事業を展開している株式会社ガイアックスで、26歳にして同社最年少で事業部長に就任。そして、2019年3月からはカンボジア、4月オランダ、5月ドイツ、6月デンマークと毎月異なる国に拠点を移して生活をしながら働くという管大輔さん。どうやら、このライフスタイルを『アドレスホッパー』と呼び、若者の間で広まりつつあるそうです。

そんな管さんが、海外でのアドレスホッパー生活を始める直前に金沢に1週間滞在し、3月9日、金沢大学の学生と高校教師が主催するセミナーに登壇されるとの情報をキャッチ。その様子を3回に分けてレポートする。

第3話では、この春から会社員になる学生さんや就活中の学生さんに向けた、管大輔さんさんからのメッセージをご紹介します。(山崎)

バックナンバー:ガイアックスの最年少事業部長が目指す未来の組織とは

 

- 「会社員1年生がやるべきこと」 -

1. 優先順位にこだわりスピードで差をつけよう

入社してからしばらくの間は周囲から観察される時期です。半年も経つとその人の性格や人柄、行動パターンが印象付いてしまいますので、入社1、2ヶ月間が特に重要。この時期を上手く利用しましょう。

新人には急な仕事や割り込みが入るのは日常茶飯事。「コピーを取って」「明日の会議の資料の準備をしておいて」など、次々と割り込みが入り、自分の予定通り進めるなんてことはできません。ポジション(役職)が上がれば、自分でスケジュールを決めやすくなりますが、新人のうちは割り込みが入ることを覚悟しておきましょう。

本屋さんに行くと、仕事における時間の活用法などの本がたくさんあります。どれも「1日の時間を区切ってちゃんと仕事しましょう」とか、「午前中は集中しやすい時間帯です」「ランチの後は集中力が切れるので作業を入れましょう」などと書いてありますが、新人はタスクを選べないのであまり役立ちません。

仕事の内容は選べない。その代わりに、優先順位にこだわることをおすすめしています。期限を設定する際に、「早く仕上げたら喜んでもらえそうなタスク」「ギリギリの提出で良いタスク」のように切り分けるイメージです。僕は「この人には認めてもらいたい」と思う先輩社員の依頼には常に最優先に対応していました。新人の時は成果で差をつけるのは難しいので、スピードで差をつける方が効果的です。

 

2. 上司を観察しマネジメントしよう

どんな立場でもマネジメント視点を持つことは大事です。 ある客先を訪問した際に、同行した他社の営業マンAさんから学んだ話をご紹介します。

Aさんは、営業先でこんな質問ばかりしていたのです。

  • 「電話でのコミュニケーションは好きですか?」

  • 「メールをまとめて処理する時間など決めていますか?」

  • 「一番集中出来る時間帯は何時頃ですか?」

  • 「社内での報告はテキストでも済みますか?」など。

打ち合わせ後に質問の意図を聞いたら、このように教えてくれました。

「この先、商談を進めるには何度もアポを取ったり連絡をする必要があります。特に決済権のある管理職の方は、自分のワークスタイルというか時間管理をしている人が多いので、相手に合わせた時間帯や手段で連絡を取るようにした方が良いです。落ち着いた時間に連絡をするようにすれば、連絡が取りやすいのはもちろん、話を聞いてくれる確率も高いです。だから、初回のお打ち合わせではさっきのような質問を必ず聞くようにしています。

これは上司に対しても応用できます。上司が1日の中でどんな時間の使い方をしているか観察しておくと、仕事がかなりやりやすくなります。

僕も1年目の時は上司の動きを観察して、話しかけやすいタイミングや仕事の振り方の特徴などを掴み、スムーズに仕事を進めるための工夫をしていました。スピード重視かクオリティ重視かでも大きく仕事の仕方が変わるので、上司の仕事の進め方を把握しておくことは重要です。

 

3. オススメの本を聞いて、後日、感想をフィードバックする

社内の先輩と話をする時は、オススメの本を聞くのが良いです。そして、勧められた本は必ず読み、後日、書評を伝えます。

僕自身、セミナーや講演会で話した後、交流会などでこんな事をよく聞かれます。

「いろんな知見をお持ちですね。普段どんな本を読んでるんですか?良かったらオススメの本を教えてください。」

オススメの本を伝えても、フィードバックをもらったことはほとんどありません。これは上司・部下の関係でも当てはまります。オススメされた本を購入し、実際に読み、感想を送るだけで、勧めた側はとても嬉しい気持ちになるのです。もっといろいろ教えたいと、新しい学びの機会を提供したくもなります。僕自身も1年目の頃は先輩社員の推薦書籍を聞き出して、1週間以内に読破し感想を送る、ということを徹底していました。

管大輔さんのオススメの本2冊をご紹介します。フィードバックしてみましょう。

 

4. 紹介されやすい人を目指そう

僕はいろんな人に会いに行くことよりも、自分の力を高めて、紹介されやすい人を目指した方が良いとよく伝えています。どんなに素敵な方とお会いしても、自分が提供できる価値が少なければその方と良い関係を築くことは難しい。憧れの人と仲良くなりたいのであれば、彼らが自分に会いたいと思ってくれるような魅力を磨くことが大事だという考え方です。

人間が嫌がる仕事から自動化されていきます。だからこそ、自分の好きなこと・得意なことを伸ばすことに時間もリソースも投下し、その領域の第一人者を目指す。そうすれば、他の領域の第一人者の方とも関係性を築きやすくなり、どんどん世界を広げていくことができるのではないかなと考えています。

 

5. 20代は信頼づくりに注力しよう

最近、複業に取り組む人が増えてきました。うちの部署でも約半分のメンバーが複業をしています。僕自身も友人と会社を立ち上げました。ですが、まだ何者でもない1年目の時に複業に取り組むことは逆に遠回りなんじゃないかと思うこともあります。

複業をする人が増えていくにつれて、本業に専念するメンバーへ重要な仕事が集まりやすくなる。結果として学習機会が増え、成長速度が上がる。本業で成果を出せるようになれば、社内からの信頼も集まり、複業など新しいことに取り組みやすくなる。

どうしてもやりたいことがある場合はこの限りではないですが、例えば給料を少しでも上げたいから複業をする、みたいな考え方だと、5年〜10年単位で見た時に非効率な行動を取っていることになりかねないんじゃないかなと。数年頑張って一定の成果を出しさえすれば、複業で獲得できる仕事の幅も広げることは容易にできます。目の前のチャンスを積極的に掴むことも大事ですが、中長期で考えて自分のリソース配分を最適化することも重要です。

いろいろと話してきましたが、全てに共通するのは「信頼」です。お客さんにも、上司にも、一緒に働くメンバーにも、信頼さえしてもらえれば、チャレンジできる幅がどんどん広がります。自分がやりたいことを実現するために、まずは周りに貢献する。GIVEする人には多くの機会が集まります。まずは自分が貢献できる領域を広げ、深掘りし、力を磨くことに注力すること。そうすれば、自然と依頼が集まり、自分が実現したいことにチャレンジしやすい状態を作れるようになっていくはずです。

まずは、信頼づくりに注力することをおすすめします。

 

編集後記:山崎

「ノマドワーカー」は知っていましたが、「アドレスホッパー」は今回初めて聞いた言葉です。世界を旅をしながら働くなんて、カッコよくて憧れますね。

そんなライフスタイルでも働ける職業ってなんでしょう?

音楽家や芸術家などのアーティスト、作家、フリーのエンジニア…会社の社長?

今年30歳になるガイアックスの管大輔さんは会社員でありながら、この春から実践しているというのはちょっと驚きですね。アドレスホッパーの管大輔さんが、いまどこの国にいるか気になる方は、Twitterでご確認ください

非日常の連続は日常?

人間は刺激を求める一方で、変化を嫌う生き物です。特に自発的では無い変化に対しては現状維持バイアスが強く働き、居心地が悪く、つい抵抗したくなります。変化に対応するためのエネルギーを脳が消費したくないのかもしれませんね。でも、人間には環境への適応能力というものが備わっていますので、直ぐに慣れることができます。したがって、非日常が連続すれば、徐々にそれが日常に変わっていくかもしれません。

「メシ・風呂・寝る」から「人・本・旅」へ

今回、管大輔さんの話を聞いていて真っ先に浮かんだのが、ライフネット生命保険創業者で現立命館アジア太平洋大学学長の出口治明さんがいつもおっしゃっているこの言葉。

働き方改革は、「メシ・風呂・寝る」から「人・本・旅」への生活の切り替えです。たくさんの人に会い、たくさんの本を読み、たくさん現場へ行って体験を積まなければ、いいアイデアは生まれません。

管大輔さんはまさに「人・本・旅」を実践している人です。

そんな働き方を実現するために必要なことは実績と信頼だとおっしゃっていました。

ところで、「信頼」とよく似た言葉に「信用」がありますが、どう違うのでしょう?

「信用」とは、過去の実績を元に評価されますが、「信頼」は未来の期待値のことです。つまり、「信用」は格付けやスコアリングといった数値化することもできますが、「信頼」は相手によって変わりますので、数値化してもあまり意味がありません。また、努力をすれば「信用」は高めることができますが、「信頼」はできません。

「信用」とは、相手とコミュニケーションを取る際の不安を取り除くためのバロメーターなのに対し、「信頼」は相手と接することで得られる幸せに対する期待値だと言えます。

アドラーは、人間の幸福は「自己受容」「他者信頼」「他者貢献」の3つの要素によって成り立つ「共同体感覚」によって生まれると言っています。「自分を受け入れ、他者を無条件に信頼し、他者に対して貢献している自分」と言う主体的な感覚が幸福の正体であると言うことです。

このことは第1話の幸福経営と、第2話のティール組織の根底にある考え方です。そして、管大輔さんがおっしゃっていた、「仕事の仮面を外し、素直に感情を表現し言い合える関係が大切」これに繋がります。

あなたは、仲間を信頼していますか?

自分や会社の存在目的について話をしたことはありますか?

  • 信頼することで、自由になれます。

  • 自由な時間を使って、「人・本・旅」ができます。

  • 「人・本・旅」から様々なアイディアが生まれます。

  • アイディアは気持ちをワクワクさせます。

  • ワクワクは周りにも伝わり、幸せな気持ちが広がります。

  • 幸福は仕事のパフォーマンスを高めます。

信頼ファースト

令和はそんな時代にしたいものです。

バックナンバー:ガイアックスの最年少事業部長が目指す未来の組織とは

 

筆者プロフィール

山崎ジョー吉

複数の企業に所属、あるいは契約をして働くポートフォリオワーカーとして働きつつ、地方での未来の働き方を発明する「金沢発!働き方の未来研究所」を立ち上げ、所長に就任し、地方における働き方改革の推進と啓蒙活動を行っている。キャリアコンサルタント。

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