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DMM.comラボの開田氏から「地方創生のための開田イズム」を学ぶ

February 4, 2018

未来の働き方を発明するために、新しい働き方にチャレンジしている人や、企業を訪問、インタビューをする「働き方の未来インタビュー」。

 

今回は、1986年に旧株式会社ケー・シーを母体として石川県でレンタルビデオ店開業からスタートしたDMM.comの子会社 DMM.com ラボの取締役 開田栄次郎氏にお話しを伺いました。

 

 

 

開田さんは、旧ケーシーへアルバイト入社、当時のレンタルビデオ、倉庫業務、ダイレクトメールなどの事業を経て DMM Webサイト制作管理→部長→取締役、代表取締役に就任、昨年1月に代表取締役を退任され、現在は同社取締役として活躍されています。

 

平均年齢30歳と若い世代の社員を束ねる開田流マネジメントの極意に迫りました!

伺った内容は、大きく分けて3つ!

  1. 新卒採用の工夫 − 働く環境を考える

  2. 教育と任せ方の考え方

  3. 評価の仕組みをつくる − 主体性と勝手に動くは異なる

 

1.新卒採用の工夫 ー 働く環境を考える

 

インタビューは、石川県金沢市の中心、尾山神社の近くのオフィスビルにある同社の金沢事業所で行いました。案内されてビックリ!「ここは恵比寿のベンチャー企業???」と勘違いしてしまいそうなくらい、オシャレで広々としたフリースペース!そこでは社員の方々が、打ち合わせしていたり、1人じっくりと仕事をしていたり、壁面に付箋を貼ってグループディスカッションをしていたり。キョロキョロしながら待っていると、自由でオープンな空間にラフな装いでニコニコと登場された開田さん。緩く雑談からインタビューはスタートしました。

 

(鈴木)DMM.com ラボさんは、地元ではイケている企業の代表格だと伺っています。東京と地方では、初期場環境はもちろん、働く人の意識、情報格差などがあるように感じますが、東京と石川の2拠点で事業を展開するメリットなどはありますか?

 

(開田さん)弊社は東京と石川に拠点があり勤務地を選べるという点では、学生さんが企業を選ぶ際の、ハードルを下げてると思います。就職後、いきなり東京で満員電車に揺られるようなストレスの多い生活に飛び込まなくても良いですからね。

 

学生さんは、就活で始めて社名を知ったばかりの地元の企業よりも、テレビCMをしているような、東京の大企業を選んでしまうというのは仕方が無いことだと思います。ITは特に。

 

ただ、自宅から大学に通っていた学生だと、最初の勤務先が日本の総人口の3分の1以上が集中している首都圏だと、新生活は期待もあるけど、不安で一杯でしょうね。昔のように東京に強い憧れを持っている人は減少し、田舎でゆったりと暮らしたい人が増えているといった話も聞きますので、地元にも営業所とかではなく、ちゃんとした拠点がある会社というのは、戻る場所があるという点では安心感があると思います。

 

また、IT系において言えば、東京にはスタートアップ企業や、それを支援するベンチャーキャピタルも多く、情報や資金調達の面では圧倒的に東京が有利です。弊社は東京にも拠点がありますので、地方にいても格差を感じることはありません。

 

ただ、どうしても東京が嫌い、もしくは地元が大好きで、地方で働くことを優先するのであれば、今後は複数のスキルセットを持ち、特定の会社に依存しないパラレルワーカーのような働き方ができる人じゃないと地方では難しい時代になっていくのかもしれませんね。でも、社会に出る前から、そんな働き方を選ぶ学生はまずいませんけどね。とはいえ、30代、40代は働き方の多様性については考えていく必要はありますけど。

 

また、地方創生で雇用を増やすためには、地方に企業を誘致し地元企業への就職を促すというのではなく、これからは会社に依存しない働き方や人生の在り方というのを社会に浸透させるべきですね。

 

それと、採用についてはテレビCMに北野武さんを起用したことで、一気に認知度が上がって、エントリーする人が増えましたね。

 

 

2011年2月に社名変更をする前は、​DMM.com ラボはドーガという社名だったんです。地元で求人の相談に就職斡旋会社に行くと、きまって、「御社はDMM.comの下請け会社なんですね。技術力が強みであれば、世界に撃って出ないのですか?採用は厳しいですよ・・・」と上から目線で言われたものです。

 

そんな時は、いつもこう説明していました。

 

「陳腐化のスピードが速い業界においては、技術力を持っていても、脱落した瞬間にWeb製作会社の一つになってしまい、単価競争になるのが関の山。そうなるくらいなら、DMMという事業にフルコミットし、ともに成長していきたい!」

 

毎回、そんな話をするのが面倒なので、DMM.comラボに社名変更することにしたんです。そしたらその手の質問がなくなりました(笑)

 

DMM.comが認知されるようになったお陰で、採用が楽になったとは言え、大学など学校の就職課にはちゃんと足を運ぶなど地道な活動も行っています。

 

最近では、エントリーする人の質もぐんとアップしました。以前までは、内定が取れない人ばかりでしたが、今は優秀な人材がエントリーしてくれるようになりました。

 

また、昨年移転したDMM.comの六本木のオフィスは、デジタル水族館などで有名なチームラボが「動物が住まうオフィス」というテーマでデザインしてくれたのですが、金沢の2つのオフィスも東京に負けないオシャレなデザインになっています。

 

金沢駅前の金沢事業所は六本木のオフィス同様にチームラボのデザインで、幼稚園?って言われるようなカラーリングになっています。会議室は社外の人にもセミナー等で貸し出していますので、参加した学生さんに「この会社面白そう!」だと感じてもらえていると思います。ちなみに、ここ金沢事業所のオフィスは、社内でコンペをさせてつくったらこうなってたみたいな緩さです(笑)

 

若い人を採用したかったら、オフィスのデザインも大事ですよ!

 

■六本木のオフィス

 

 

金沢事業所のオフィスデザイン(チームラボのサイト)
 

 

2.教育と任せ方の考え方

 

(鈴木)オフィスの改装まるごとですか!任せる文化がありますね。任せるといって放任しているマネージャーって多いと思いますが、御社ではどのようにマネジメントされているんですか?

 

(開田さん)何を任せるのかについては明確に別けています。予算は僕の責任範囲で、細かな事は全部任せています。

 

僕は、最初に目的を共有しコンセンサスを取ることを重視しています。どんなに斬新なアイディアであっても、いきなり任せたりはりません。その事業の目的が明確で、お互いの認識が一致しコンセンサスが取れた段階で、徐々に権限を渡していくようにしています。目的意識を持たせることで、企業ビジョンや社会的責任についての理解度を深めることに繋がるからです。

 

最近、社員に対してこんな質問をしたことがあります。

 

「あなたから見て、会社や自部署の課題や必要だと思うことは何?」

 

すると「教育」っていう答えが返ってきました。

 

「具体的な理由を聞かせて?」

 

すると「話をちゃんと聞いてくれなかったり、内向きな人が多いからです」といった回答でした。

 

これをもっと深掘りしていくと、教育に課題があるのではなく、無駄な業務が原因でコミュニケーションがギクシャクしていたようです。つまり、業務改善が必要だったということですね。

 

このように課題の発見の仕方、課題をどうやって解決すればよいかを教える。そのプロセスそのものも「教育」の一つだと考えています。講習などの座学に送り込めば全ての問題が解決するわけではないですからね。

 

任せるためには、初期段階で目的を共有しコンセンサスを取っておくことが大切ですね。以前、丸投げしたこともあるんですが、上手くいかなかったんです。課題にぶち当たったらどんな小さなことでも良いので相談にくるように伝えています。目的とゴールが共有されていれば、そのに行くためのプロセスに問題が合ったとしても、他の方法を考えることができます。目的とゴールを把握していないと、プロセスに問題があった場合、原因の追求に時間を費やすあまり、目的を見失いかねませんからね。地味な話ですが、お互いが腹落ちするまで社員とはとことん話をします。それぐらい大切なことだと考えています。

 

 

3.評価の仕組みをつくる − 主体性と勝手に動くは異なる

 

 

(鈴木)このオープンスペースに居る皆さんを見ていると、会議だと思うのですがちょっと違う雰囲気ですよね。どちらかというと、自発的に行動しているように見えます。社員が自発的な行動をとるための取り組みなどはありますか?

 

(開田さん)あれはデザインチームですね。デザインチームのリーダーが「デザインの哲学」について話をしているんですよ。「仕事で大切な事」「デザインとは」などを徹底的に教えているんですよ。コンセンサスが取れたら、ポイントだけ伝えてあとは同じ。任せるスタイルです。

 

(鈴木)評価はどのようにされているんですか?

 

(開田さん)例えば、デザインは成果物であるプロダクトが重要に見えますが、デザインというのはその人の主観に左右されます。デザインが売上に直接影響を与えていることが数値化できれば良いのですが、必ずしもそうではないですよね。

 

なので、デザインも依頼者の目的や意向を汲み取るスキルが求められます。2人のデザイナーのコンペの結果、見た目にはほとんど差がないデザインだったとしたら、次はどちらに依頼しますか?きっと、気持ちよく仕事ができる相手を選ぶことでしょう。

 

つまり、デザイナーに求めるスキルセットは、デザインスキルが半分、相手の意向を理解するスキルが半分なんです。

 

評価指標は、組織上のポジションごとに別けられたステージごとに、求めるスキルセットを変えています。例えば、役員には高いプログラミングスキルよりもマネジメントスキルを求めています。

 

また、スキルセットに組み込むスキルの割合については、一人一人に期待する伸びしろに応じてバランスを調整しています。

 

「自分にはこんな資格がある!こんなスキルがある!」と主張し、スキルに対する報酬を求める人がいますが、会社はスキルに対してではなく、成果に対して対価を支払っているわけなんですよね。会社の方向性と社員との間で解釈の違いが生じないように、面談を定期的に行うようにしています。

 

最近、ビジョン経営と声高に言われてきていますが、トップが「これからは自分で考え時代だ!」って丸投げすると社員は自分に都合の良い解釈で勝手に考えちゃいますからね(笑)

 

目的とゴールを明確にして、共有しておかないと、会社が求める利益を生む方向は社員は向かってくれないんです。ビジョンには業績と連動するきっちりとした評価システムがないと強くはなれない。稲盛さんのアメーバー経営と同じです。

 

働き方改革って言葉が横行してるけど、働き方を考えるのは、会社ではなくで、働いている自分自信だと思います。「残業が多いから会社で残業削減をして欲しい」と会社に求めるのではなく、自分で考え、自分で変える、あるいは選択していく時代なんです。

 

ただ、最近の新入社員を見ていると、社会インフラに対する要求レベルがとても高いように感じます。例えば、どこの会社も当たり前にちゃんとしているはずだって思い込みがあるんですよね。コンプライアンスがしっかりしているのが当然だと。

 

会社ごとに就業規則や福利厚生も異なるので一概に比較は出来ないのに、ちょっとしたことで、自分が勤める会社の制度を批判し、ブラックだという人が多いような気がします。これって責任を果たさずに権利主張しているだけだと思います。

 

日本という国は先進国で成熟しているから、社会的なインフラも当たり前に品質が高いと思いこんでいるんです。昨今の自動車メーカーの問題などを見ればわかるように、会社組織に絶対的な品質を求めるべきでは無いと思います。会社や社会に依存するあまり個人の自己責任能力が下がっているのかもしれませんね。

 

(鈴木)最後に今後の課題をきかせてください

 

(開田さん)会社の課題は、DMM.comグループの強みであるスピード経営が企業規模が拡大しても損なわれないようにどうやってしていくかが課題です。また、情報の整理や統治が難しくなってきているようにも感じます。アメーバ経営のように、組織を小さくすると同時に強くするために様々な取り組みをしていきたいと思います。

 

 

(後記)

1時間半に及ぶインタビューでしたが、終始ゆっくりと丁寧に、かつ思慮深くお話される開田さんの一言一言はどれも印象に残りました。訪問する前は、パステルカラーのイメージでしたが、開田さんにお会いしお話を聞いたあとでは、2千名超える大企業の取締役というよりもオープンで爽やかな風のようなイメージに変わりました。

 

派手な印象が強い会社なのに、マネジメントは一見地味で細やかな手法を貫いているのにはちょっと驚きました。

 

それと、余談で主体的な行動をする組織と、指示通りに行動する組織についての話が印象的でした。

 

ヤマト運輸のように緊急時には指示が無くても主体的な行動をする社員が多い組織と、自衛隊のようにトップからの指示通りに行動する組織。今後はどっちの組織が望ましいのでしょう?

 

前者のように社員一人ひとりが主体的に行動できる組織が伸びていくのが時代の潮流でしょう。しかし、組織全体をまとめてマネジメントするのはとても難しいことです。たった一人の行動が会社全体の危機を招く可能性があるからです。その場合の行動は、主体的ではなく身勝手な行動と言われてしまうのでしょうね。

 

では、全て上層部が決めた指示にしたがって社員は行動すれば良いかというとそうではありません。指示を待ってから行動していたのではビジネスチャンスを逃しかねません。

 

これからは、事業や業務の目的とゴール、優先順位を明確にし、しっかりと共有しコンセンサスを取っておきながら、自発的な行動ができる組織づくりが理想なんでしょうね。

 

環境に適した細やかな開田さん流のマネジメント「開田イズム」。きっと、これが、地方で若者がワクワクしながら働ける職場を提供する地方創生だと言えます。多くの企業のマネジメントに携わる方々にも伝えていきたいと思います。

 

 

企業プロファイル

 

株式会社DMM.comとは様々な事業を手がけている企業グループDMM.com グループを統括している会社で、DMM.comはそのブランド名。

 

株式会社DMM.com ラボはグループの全ての事業に関わっているグループの核となる会社で、システム開発・運営、ネットワークインフラなどを担っています。設立は2000年。従業員はナント2000人以上。石川県と東京に拠点があり、東京は六本木に、石川県には金沢市内に4箇所と加賀市に1箇所にオフィスがあります。社員の平均年齢は30歳前後と若くて勢いのある企業です。

 

また、DMM.com グループは、株式会社DMM.com OVERRIDE(ゲームコンテンツの制作)、株式会社DMM.com 証券(FX・CFDの提供と運営)、株式会社DMM.futureworks(DMM VR THEATERの運営)、株式会社DMM.com Base(DVD,CD,BDなどの製造、販売)を始め、1月には仮想通貨取引所にも参入するなど、様々な事業のコングロマリットです。

 

DMM.comは1980年台の後半に亀山会長が加賀市内で開いたレンタルビデオ店が発祥で、アダルトビデオで成長したの企業です。地元ではその印象が根強いですが、多角展開する様々な事業が成長し、2017年2月期の売上高は1823億円。登録会員数が2700万人を突破するなど成長著しく、全事業に占めるアダルトビデオ関連事業の売上は3分の1未満まで低下しています。

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