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離職率が高い会社はブラック企業?

就職や転職する際に、気になる数字といえば、離職率

働きたいと思っている会社の離職率が高いと、

残業が多かったり、仕事がきつかったり、雑用が多かったり・・・と、何らかの原因があり、社員の定着率が低く、いわゆるブラック企業じゃないかと疑ってしまいます。

元社員と思われる人が、「あの会社はブラック企業だ!」などとネットの掲示板などで書き込んでいるのを見つけると、就職対象企業リストから真っ先に削除してしまいそうです。でも、口コミだけで判断してしまっていいのでしょうか?

ライフネット生命の創業者の出口さんは、「会社で物事を決める際は、数字、ファクト、ロジックで話し合うこと」とおっしゃっています。数字とはデータ、ファクトとはデータに関連する事項や過去の事実、ロジックとは、そこから実証的な理論を組み立てることです。

企業が社員にとって働きやすい会社かどうかをネットの掲示板だけで判断してしまわないためにも、数字から企業をみてみましょう。労働環境を知ることができる数字が離職率や定着率ですね。

ところで、離職率はどうやって計算するかを知っていますか?

実は法律などで定められた計算式などは存在せず、企業によっても定義・計算方法はまちまちなんです。最もポピュラーな計算式は次のとおりです。

「離職率(%)」=「当期間内の離職者数÷当期首(または前期末)の在籍者数×100」

問題は計算に使用する期間です。毎年3月末に離職者が多い会社が離職率の計算期間を12月の時点で過去半年にすると離職率0%とz意図的に期間を変えたとしても直ぐにバレますが。

では、多くの企業が一般的な計算式を用いて、毎年離職率を計算しその推移を開示しているとしたら、

一体何%ぐらいだったら離職率が低いと言えるのでしょうか?

厚生労働省が半年ごとに発表している「雇用動向調査結果の概況」で、「年初の常用労働者数に対する離職者数の割合」が平均的な離職率の目安として参考にできます。

平成28年8月24日に発表された「平成27年雇用動向調査結果の概況」を見ると、

平成27年1年間の離職率は15%となっています。

全体では15%ですが、性別、就業形態別(パート、社員)、業種(産業別)によって値は変わってきます。

特に業種(産業別)で見ると、「宿泊業、飲食サービス業」が28.6%と突出して高く、「生活関連サービス業、娯楽業(21.5%)」「サービス業(20%)」が続きます。

一方、IT企業は情報通信業は10.7%と意外と低いようですね。また、製造業では離職率が入職率を上回っている(離職超過)ことから厳しい状況が見て取れます。

「宿泊業、飲食サービス業」に入社した新卒の2人に1人は3年以内に離職

また、同じく厚生労働省が発表している「新規学卒者の離職状況」では、大学卒業後3年以内離職率は31.9%、「宿泊業、飲食サービス業」は50.5%と2人に1人が3年以内に離職していることがわかります。

一口に離職率と言っても、全体の平均値だけでは、その値が高いのか低いのか、判断することは難しいですね。でも、ある程度絞り込むことで目安にはなりそうです。むしろ、自分で実際に会社に行く、一般消費者向けにサービスを提供している会社ならその店舗に行ってみる、あるいは社員に直接話しを聞いてみた方が良さそうです。

「離職率約28%(2005年)から5%へ激減」

ここで、8月18日にダイアモンド・オンラインに掲載された、副業を推奨するなど柔軟な働き方にチャレンジしているサイボウズの青野社長とワーク・ライフバランスの小室社長との対談記事を紹介したいと思います。

「離職率約28%(2005年)から5%へ激減」

働き方改革先進企業として有名なサイボウズですが、スゴイ成果ですね。

ちなみに、記事で青野社長は「採用」と「定着」が最大の成果だと述べています。

  • 「やっぱり学生は楽なほうを選ぶのか」←そうじゃない

  • 「最近の若い人は働きたくないのか」←そうじゃない

  • 「短時間で働きたい人はライフを重視する人であり、ワークを重視していない人」←そうじゃない

青野社長は全てが先入観であり偏見だったと気付いたそうです。

採用に苦労をしている企業は、短期的には、オフィスを今どきのデザインに変更したり、会議室の椅子をなくしたり、食事や飲み物の無料サービスを提供したりといったイメージを変えることも良いですが、多様な働き方の選択肢を提供し、そのロールモデルを作り上げ、定着率を高める、すなわち、離職率を低下させることが中長期的には有効です。

サイボウズのデータを見ると、採用コスト低減はもちろんのこと、業績向上につながるという結果に表れています。

また、働き方改革への取り組みと成果について、積極的に情報発信していくと良いでしょう。さらに、転職組や出戻り組など中途採用を対象とした、会社説明会やインターンシップを提供する企業が増えていくことが予想されます。

新卒、中途採用問わず、会社に定着し活躍してもらうためには、入社前に、社風や企業文化、ルールを理解してもらった上で、エントリーしてもらうことが重要だと言えます。そのための手段としてインターンシップは双方にとって有効で今後、さらに広がっていくことでしょう。

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