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石川県金沢市

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ライフシフトの功罪〜地方の働き方を考える〜

February 25, 2018

 

北陸新幹線開通で賑わう古都金澤。

45万人の人口の都市金沢に年間約200万人の観光・ビジネスパーソンが訪れる。

 

この200万人に向けて経済活動は活況を帯び、

多方面、多角的な業態で県外資本の参入が止まらない。

 

サービス業関連の求人は増え続け、人が動けばモノが動き、モノが動けば製造や物流の動きが活発になるのは必然。

 

そして、かたや石川県民は115万人。

就業している人数はいったい何人なのか。

 

県民文化局統計情報室の発表にによると

「石川県労働力調査」平成29年第2四半期(4~6月平均)

石川県の人口115万人に対し

就業者数600.7千人(全国6,543万人)

就業率59.9%(全国58.9%)

完全失業者数12.6千人(全国200万人)

完全失業率2.1%(全国3.0%)

 

http://toukei.pref.ishikawa.jp/search/detail.asp?d_id=3150

 

この内、宿泊、サービス関連、小売等に従事する人の数は約5万人

200万人の来訪者を5万人で支えているということにもなるが、

実際の現場はもっと逼迫している。

シーン別、業種別、現場では慢性的に働く人が足りていない。

 

 

 

例えば今春、小松にオープンした大手商業施設。

ここはオープン前から既に波乱含みだった。

 

この商業施設に出店する店舗で働く人が集まらない。

聞いたところによると、総数2500人の求人に対して、オープン時でも500人強が充足していなかった。

そのために、各店舗は県内外の店舗から応援スタッフを手当てし、休日返上でシフトを回し、人材サービス会社に外注した。それでも足りないものは足りない。ただでさえ人材難である。

次に打った手は単価アップ。稀に見る破格の時給でオープンスタッフを募集。アルバイト単価の高騰により、外注単価もつり上り、一時期外注単価(時間給)@3000円という店舗すらあったと聞く。

大手アパレルショップは人員の手配がつかず、春のオープンが見送られ、夏にもメドが立たず、今秋と言われていたが、ようやく11月の半ばにオープンにこぎつけた。それでも人出の手配は不十分で、遅れに遅れたオープニングセールを社員総動員でしのいでいるのが実際のところ。

前代未聞の事態である。

 

このアパレルのオープンによって、この商業施設は日本海側最大級の冠を拝することになったのだが、これを見届けた1年後には更に床面積の大きい施設の建設が予定されている。

同じビッグネームを冠した近隣の店舗は、同じ傘下でも別グループの経営、つまりは全くの別会社に当たるため、どの店舗も閉鎖も統廃合もなく存続する。

 

由々しき事態である。

 

床面積の大きい施設が林立し、既存も統廃合なく存続となれば、働く人が足りなくなることくらいわかりそうなものなのだが。

地方出店の人材手配のマーケティングは不十分だとしか考えられない。

そもそも、人的マネージメントがあったかどうかすら疑わしい。

 

穿った見方をすれば、儲けは考えるが働き手は考えない。

なんとかなる、とたかをくくっている。

そんなふうにしか見えない。

 

地方都市をなめてはいけない。

 

大型商業施設を創りさえすれば勝手に人が集まるなんて、そんな甘いもんじゃない。

働く人も買い物する人も同じなのだ。

ぐるぐる回っているだけだ。

 

それでも、バランスが取れればいいが、実際はアンバランスこの上ない。

土日祝日は賑わうが、平日は閑古鳥が鳴いているのが実際だ。

 

では、この出来上がった器をどう運営するのか。

働く人のシフトをどう回すのか。

これもまた、現場に丸投げである。

行き当たりばったりにしか見えない。

 

器の製作者は、器が完成し賃料が収められれば成功なのである。

器に入るモノが替わっても、賃料が入れば問題はないのだ。

現場のジレンマは解消されない。

 

こんなことの繰り返しで地方経済が発展するワケももない。

ブラック企業を生み出すだけだ。

 

誰が望んだのか。

 

 

 

ならばどうすればいいのか。

 

地方都市は包括的な街づくりと共に、包括的で循環する就業現場をつくるインフラ整備をするべきだと思う。

 

例えば、「平日日勤帯9時~15時土日祝休み希望」が就業条件の女性たちの活用だ。

この枠を希望する女性の8割は、0歳~9歳の子供を抱えている。

時間と曜日に制約があるのは、子供の保育園の送迎や学校の休日に合わせているためだ。

核家族であるため、子供が病気になれば休まねばならないし、学校行事には積極的に参加したい。時間も曜日も限られるが、働く意欲はあるし、将来を考えて働きたいと思っている。

 

ただ、求人条件には合わないのだ。

雇用側は、休まれては困るのだ。

小さい子供を抱えているというだけで不採用になる。

そんなことに配慮はできない。

配慮する余裕がないのだ。

 

とあるショップの店長の断り文句はこうだ。

 

ー「お子さんが熱を出したらどうしますか?」

 

この一言が殺し文句なのだそうだ。

この一言で応募者はほぼ辞退していく。

雇わない理由と責任を自社に負わせないためなのだ。

 

この一言で泣き出した人も少なくないと聞く。

 

それはそうだ。

働きたくて就活をする。

働きたい理由はそれぞれだろうが、例えば子供の将来のためにと求職をして、子供がネックで断られる。こんな切ないことがあるだろうか。

 

あるのだ。

 

 

 

日本の人口は減り続けるし、地方都市の働き手は首都圏よりも早いスピードで減少する。今はまだ緩やかに見えるが、10年後には日本の人口の三分の一が高齢者になってしまう。

 

そんな中で、結婚生活を営み、子供を育て、尚且つ働く意欲のある女性たちを、いかにしてか活用して行くしかない。するしかない。

 

するべきである。

 

まして、子供は成長する。

手のかかる時期はほんのいっときで、5年も待てばフルタイム可能にすらなるし、高校、大学と学費のかかる時期にもなれば、働かざるを得ない状況すら生まれてくる。

この制約のかかる5年のうちに人材として育てればいいのだ。 

 

そして大型商業施設をつくる際、このたった数年の不自由の解消のために、365日運営の保育所、託児所、学童保育所を併設してはどうか。

土日祝も預かってくれる場があるだけで、勤務可能時間が広がる。

もちろん、地域のクリニックと連携した病時保育があればさらに安心して働ける。

親が安心して働いていると、案外と子供は熱も出さないものだ。

 

更に、この施設に必要な人材は、シニアの積極採用と活用だ。

学童の見守り隊が浸透したように、社会貢献を込めた採用を実施する。

社会経験を積んだシニア層の、成熟した人間性が、温かく子供たちを保育できれば、新しい雇用の創出と共に働き手の確保に繋がらないか。

働く先で手にする給与が生み出す経済効果もばかにはならない。

つまり、こうした人たちが働くことで社会と繋がることが経済成長に波及する。

 

社会と繋がりを持ち続けるシニアは、これまた懸念されている認知症の発症の抑制にすら、良い影響を及ぼすのではなかろうか。

 

 

 

 

人が必要なら、人を活かす器を作るべきだ。

 

生きがいとは何か。

働きがいとは何か。

 

地方の働き方改革は、まず、津波のように流入する県外資本に対して、地方の活かし方改革=イノベーション計画がどこまで検討され、計画されているかを吟味することから始まるのではないか。

働きたい人を働ける場所に誘い、働く人に育てることで、地方経済は健康に育つ。

目先の経済だけを回し続ける経営は、まず人的要因で破綻する。

 

人生100年時代。

子供が成長するたった5年が待てない経営なんかクソ喰らえと思うのだ。

 

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