無能への大行進。ピーターの法則、知っていますか?
ピーターの法則って、ご存知でしょうか? 知る人ぞ知る、って感じかもしれません。 まずは、ググってみてください…笑。
意地悪しないで、説明しますね。
ピーターの法則 階層社会では、すべての人は昇進を重ね、おのおのの無能レベルに到達する。
ピーターの必然 やがてあらゆるポストは、職務を果たせない無能な人間によって占められる。
ゆえに 仕事は、まだ無能レベルに達していない者によって行われる。
これ、何を言っているかというと、あらゆる階層社会において、有能な人は、昇進する。そして新しいポジションでさらに有能であればさらに昇進する。また、そのポジションで無能ならそこに留まる。有能なら昇進し、無能なら留まる。これを現象としてよく考えてみると、人は無能になるポジションまで昇進するということになる。そして、最終的には、すべてのポジションは無能な人だらけとなる。という法則ですが、これを南カリファリニア大学の教育学者ローレンス・J・ピーター教授が、階層社会学の成果のひとつとして、提唱しました。
よく考えてみると、これは論理的にも、あたり前のことだし、ピーター教授は科学的な資料としての膨大な観察事例をもとに論証しています。また、みなさんも自分の身の回りを振り返って、なるほどと得心する事例が多いんじゃないかと思います。
厄介なのは、無能のレベルまで昇進した人を、仮に元の有能だったポジションに戻そうとしても、さまざまな難しい問題が起こり、簡単には降格もできません。これはアメリカでも難しいくらいなので、日本では尚更です。
そのまま、放置するか、新設した意味の無いポジションに横滑り、あるいは祭り上げするしか有りません。どちらにしてもその人が再び有能化することは、ほとんど有りません。
そして、階層組織は、まだ無能に向かって行進中の人によって運営されるとは、なんともやりきれない表現ですね…笑。
さて、ほとんどの会社や団体は階層社会だと思います。 その中で、ピーターの法則を回避するにはどうすれば良いのでしょうか?
ピーター教授は、創造的無能というとても笑える残念な方法を奨めています。 自分の次の昇進が『あがり(=無能到達)』であることを察したら、馬鹿のフリをしてその昇進を回避しなさい。と、言っています。 なんとも、はや。という感じですね。
すべての階層社会では、ピーターの法則の影響下から逃げられないと言われていますが、これに対抗する手段が考えられたようです。 それは、次のポジションのための能力の訓練が終わるまで昇進させないということのようですが、現実的にそんなことが上手くできるのか微妙ですね。
これが、ピーターの法則のあらましです。
人は、無能に向かって、昇進を続ける。 恐ろしい、考え方ですね。 で、どうすんのさ、ってことです。
私は、ピーターの法則に支配されて、無能に陥ろうが、どこで無能に陥るかはやってみなければ分からないので、精一杯、階層社会を生き抜くしかないと思います。そして、自分が無能に行き着いたことを自覚したならば、それを謙虚に受け入れ、出来るだけ早い時期に、その組織を離れるべきだと思います。
無能という状態は、成果(アウトプット)を出せない非生産的な状態です。その状態に長く自分を置いておくのは、命(人生)の無駄遣いです。
(自ら)喜びも感じない、(他から)喜ばれもしない。 そんなくだらない時間に、身をおいては駄目でしょう。 人は、死ぬまで、活き(生き)なければいけません。
そのためには2つのことがとても重要です。 ① 自分の無能をセンシング(気付く)こと。 ② 組織を離れる能力(技術、知恵)を準備しておくこと。
自分の無能に気付く手法に関しては、『ピーターの法則』(ローレンスJピーター著 ダイヤモンド社)が詳しいので、ご一読を奨めます。
そして、自分が無能になる、すなわち終点に到達してしまったことに気づいたら、二つの選択肢のなかからどちらかを選ばなければなりません。
一つは、無能に甘んじて、そのポジションに居座る。これはクビになるわけではないので、収入の保証はされます。しかしながら、生きながら葬られているような人生でしょう。
もうひとつは、自分の有能を取り戻すために、その組織を離れることです。その組織に居座り続ける限り無能から脱することは出来ません。もう一度自分の人生をその手に取り戻すのです。しかしこれは、リスクも高い選択です。
殆どの人は、前者の『死に体』の人生を選択しているのではないでしょうか? なぜならば、組織を離れるという選択肢をとるため準備(能力)ができていないため、無能に甘んじるしかないのです。自分の無能を自覚して生きる人生、なんともやりきれませんね。
だからこそ、出来るだけ早い時期に、まだ自分が有能である時代に、組織を離れる能力を身につけておくべきです。どちらでも選択できるように。
日本の労働人口6,500万人のうち、少なく見積もって約20%程度が、最後の昇進を終えていたとして、1,000万人強の人たちが、才能をくすぶらせているということです。 なんとも、もったいない話です、国家にとっても、自分にとっても…。
無能にふたたび光をあててみる。 これこそが、これからの日本の国力維持に必要なことかもしれません。 出典:ピーターの法則~創造的無能のすすめ ローレンス・J・ピーター著 ダイヤモンド社
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